- 出版社・取扱者 : 本願寺出版社
- 発行年月 : 2016年8月1日
- 本体価格 : 本体1,000円+税
目 次 |
第1章 医者が仏教に出遇ったら 第2章 老病死とともに 第3章 本当の豊かさとは 第4章 仏教が教えてくれること 第5章 今を生きる |
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「不老長寿は幸せか」「生きることの質とは何か」「自分を超えたものとは」…病院という生死の現場で生じる問いに、仏教の視点でいかに向き合うのか?新しい医療文化の創造をめざす「西本願寺 医師の会」発起人であり、現役の医師である著者の生命観・人生観・仏教観が詰まった一冊である。
考えてみれば「老病死」の苦悩と向き合うという点で、医療と仏教は本来的に相性が良いはずだが、現実には両者の距離は必ずしも近くはないようだ。「現状の医療現場は効率・能率・確率と偏った合理主義が進んで、人間性を失うような領域になってはいないでしょうか。人間性を深く思索していった先人の哲学・宗教の智慧、仏教文化に耳を傾けることで、治療の結果のいかんを問わず、患者も医療人もともに「足るを知る」世界に導かれるのではないかと思うのです」。合理主義は医療の領域に留まらず、現代社会を支配している価値観であり、多くの歪みが生じている。そこへ一石を投じる仏教思想の可能性を本書は感じさせてくれる。
評者:加茂 順成(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)
掲載日:2017年6月21日