- 出版社・取扱者 : トランスビュー
- 発行年月 : 2014年5月5日
- 本体価格 : 本体2,000円+税
目 次 |
はじめに バーチャル宗教としてのファンタジー 第1章 癒す サン=テグジュペリ『星の王子さま』 第2章 救う 芥川龍之介『蜘蛛の糸』 第3章 審(さば)く C.S.ルイス『ナルニア国物語』 第4章 贖(あがな)う 宮崎駿『風の谷のナウシカ』 第5章 信じる 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 あとがき |
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友達と映画を鑑賞したあと、喫茶店でその内容について、ああでもないこうでもないと話をする。この余韻も映画の楽しみの一つといえよう。
小説、漫画、映画、アニメ。そのなかで表現される、もしくは、その底に流れる作者の意図について考えてみる。誰しも経験があるだろう。作者自身が語らない限り、その解決をはかることはできないが、大抵の場合、作者はそこまで解説してくれない。想像は膨らむばかりである。著名な作品になれば、解説のガイドブックなどが出版されることもある。時には作者の意図を超えた壮大な世界観が構築されることさえある。それが宗教的要素を含んだものであれば尚更である。
さて、本書は著名なファンタジー作品の世界観やロジックについて考えていく。取り扱う作品は、『風の谷のナウシカ』など大きな反響を得た映画作品から、『星の王子さま』『銀河鉄道の夜』といった誰もが聞いたことがあるような文学作品まで多岐にわたる。
宗教的な視点を持って作品に向かう。作品の中から宗教的な要素を見つけていく。知っている作品も知らない作品も、その作品を楽しむための新たな視点を提供してくれる一冊である。なお、同時発売『宗教で読み解く ファンタジーの秘密』(II)では、手塚治虫の『ブッダ』や『ハリー・ポッター』などを考察する。
評者:真名子 晃征(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手
掲載日:2014年10月10日