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お坊さんなら知っておきたい「説法入門」
本の紹介
  • 正木 晃 (まさき あきら)
  • 出版社・取扱者 : 春秋社
  • 発行年月 : 2013年10月15日
  • 本体価格 : 本体1,800円+税

はじめに
第1章 ブッダと仏弟子の真実
第2章 霊魂のお話
第3章 最新の話題から
第4章 仏菩薩と神々の履歴書
第5章 アニメから仏教へ
あとがき

タイトルから「説法テクニックの入門書」だと想像したのは、私だけだろうか。しかし、本書は説法テクニックのマニュアルの類いではない。むしろ、様々な説法ネタを提供してお坊さん一人ひとりの可能性を広げる意味での「入門」である。

最新のブッダ像(第1章)からはじまり、霊魂のお話(第2章)、舎利信仰(第3章)、仏・菩薩と神々との関係(第4章)、さらにはアニメ仏教学(第5章)まで、バラエティに富んだ内容で構成されている。話題の一つ一つが、最新の仏教研究の成果と、現代的なトピックをふんだんに織り交ぜた題材となっており、読んでいて飽きない。

著者は、『お坊さんのための「仏教入門」』(2013年、春秋社)でお馴染みの正木晃氏。前著に引き続き、予備知識がなくても大いに楽しめる好著である。

釈尊在世の時代から、仏教の歴史とともに展開してきた、説法。「いま、お坊さんに求められているのは「説法」です!」(帯文)に応えるが如く、本書を通して、現代における説法の可能性を探ってみてはいかがだろうか。お坊さんだけでなく、仏教に関心のある一般読者にも勧めたい一書。


評者:南條 了瑛(浄土真宗本願寺派総合研究所研究生)


掲載日:2014年10月10日