- 出版社・取扱者 : PHP研究所(PHP文庫)
- 発行年月 : 2013年11月20日
- 本体価格 : 本体667円+税
目 次 |
第一章 イスラム教では、なぜ豚を食べてはいけないのか? 第二章 キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、同じ神なのに、どこが違うのか? 第三章 キリスト教とイスラム教、どちらが侵略的か? 第四章 「神の愛」と「仏の慈悲」は、どう違うか? 第五章 神と仏はどう違うか?-キリスト教と仏教(大乗・小乗) 第六章 神道、儒教は宗教か? 第七章 死者をどう祀るか?総理大臣靖国参拝の是非 第八章 宗教は、なぜ必要なのか? |
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「日本人は宗教音痴です」という一文で始まる本書は、そんな日本人のために、本物の宗教とは何かということを図式まじえながらわかりやすく教えてくれる。
まずは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の成り立ちやその違いを述べ、続いて、キリスト教と仏教の違いとして、「神の愛」と「仏の慈悲」を対比しながら解説する。「愛」とは、自分にとって都合のいいものを愛し、悪いものを憎むものだが、「慈悲」とはそういう自分の物差しを取っぱらい、他人と自分とを一体に考えるもの、という。
そして、このような宗教を持つからこそ、人間は動物と区別されるのだと著者は言う。現代の日本など多くの国は競争原理の資本主義社会であり、「みんなが幸せになれるはずがない」社会になっている。しかし仏さまの願いは「あらゆる人、すべてのものが幸せになってほしい」ということであり、競争原理によって成り立っている現代社会に、それとは異なる視点を与えてくれる。
著者は、宗教をバスの時刻表に譬える。現実の社会は決して時刻表通りには運行しない。けれど、宗教という時刻表があるからこそ、世の中が狂っていることがわかるのである。
損得の社会的価値だけに縛られて生きている現代の私たちに、宗教の必要性を改めて考えさせてくれる一冊である(なお、現時点で重版未定とのこと)。
評者:岩田 香(浄土真宗本願寺派総合研究所研究生)
掲載日:2014年10月10日