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仏教から生まれた意外な日本語
本の紹介
  • 千葉 公慈 (ちば こうじ)
  • 出版社・取扱者 : 河出書房新社
  • 発行年月 : 2013年9月5日
  • 本体価格 : 本体1,400円+税

1 「ありがとう」「我慢」「大丈夫」…ふだん何気なく口にしている日本語
2 「玄関」「高座」「いんげん豆」…いっけん、仏教由来とは思えない日本語
3 「ガタピシ」「うやむや」「どっこいしょ」…その語感がユニークな日本語
4 「悪魔」「後生」「火宅」…どことなく恐ろしい日本語
5 「開発」「実際」「工夫」…仕事や勉強でよく使う日本語

本書は、日常使われる日本語の中にある、仏教から生まれた言葉についてまとめた書籍である。使われる状況などの項目に分かれており、日常何気なく口にするものからビジネス用語まで、多岐にわたっている。
それぞれの言葉について、意味の解説に加えて、由来となった説話などもわかりやすく書かれている。たとえば、「玄関」とは元来「悟りという深遠な仏道修行への入り口」であったが、それが「仏教寺院の入り口」やがて「建物の入り口」の意味で使われるようになったのであり、玄関とは単なる「入り口」ではない(近年薄れつつある習慣ではあるが、玄関と勝手口は使い分けられる)と述べている。このように、言葉の解説だけでなく、その言葉の本質にも触れられており、仏教由来の意味を知るとともに日常生活では忘れがちな、日本語としてもつ本来の意味にも触れられるところが魅力となっている。


評者:雲居 玄道(浄土真宗本願寺派総合研究所研究協力者)


掲載日:2013年12月10日