- 出版社・取扱者 : 平凡社
- 発行年月 : 2013年7月25日
- 本体価格 : 本体1,200円+税
目 次 |
僕たちは、地獄に生まれた(細野 晴臣) 巻頭言 なぜ、われわれは地獄絵を見るのか?その成立から世俗化まで(加須屋 誠) 国宝探訪 地獄絵八景(加須屋 誠) 地獄観念の生みの親 恵信僧都源信への旅 大和・長岳寺・北川慈照和尚の絵解き講座 死んだらどうなるのか。 品川・長徳寺閻魔堂の六道絵 異界のパッチワーク 東京23区 ゑんま堂MAP 辛酸なめ子の東京ゑんま堂めぐり記 生と死へのまなざし 餓鬼、病、死体の世界(山本 聡美) 鳥辺野、蓮台野、化野 京都「六道」の地をめぐる COLUMN:ニッポン地獄紀行 1 和歌山 熊野三山 熊野比丘尼が運んだ地獄絵 2 神奈川 鎌倉 鎌倉彫刻で知る「十王」の世界 3 埼玉 春日部 浮彫地獄絵と曼陀羅堂開帳 4 大和・讃岐 縁起絵の中の地獄 5 静岡 沼津 白隠さんが描いた閻魔王 |
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育児マンガ『ママはテンパリスト』(東村アキコ、集英社)が「しつけ本」として『絵本地獄-千葉県安房郡三芳村・延命寺所蔵』(宮次男監修、風濤社)を紹介して以来、地獄絵が静かなブームだ。日本仏教美術の紹介に定評のある『別冊太陽』の姉妹篇である本書は、日本の代表的な地獄絵である「地獄草紙」「聖衆来迎寺本六道絵」などや、人体の無常を描いた「九相図」などを取り上げ、豊富なビジュアルに加須屋誠(奈良女子大教授)ほかによる充実した解説を付している。本書はこの他にも、日本各地の寺社を探訪して地獄絵や閻魔堂などを拝観できるよう、工夫されているのが特色である。
掲載されたものを見れば、全国には実に多様な六道(ろくどう)や閻魔などの図画彫刻が存在し、また意外に身近な寺院でそれらを拝観したり、祭事に参加できることに驚かされる。日本文化の他界観、さらに倫理観をも育んだ地獄絵であるから、お子様の有無に拘らず、一度本書片手に訪れてみるのはいかがだろう。
評者:日野 慧運(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)
掲載日:2013年12月10日