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世界は宗教で動いてる
本の紹介
  • 橋爪 大三郎 (はしづめ だいさぶろう)
  • 出版社・取扱者 : 光文社(光文社新書)
  • 発行年月 : 2013年6月20日
  • 本体価格 : 本体760円+税

まえがき
第一講義 ヨーロッパ文明とキリスト教-イエスの父はヨセフか、それとも神か-
第二講義 宗教改革とアメリカの行動原理-ウォール街の“強欲”をどう考えるのか-
第三講義 イスラム文明の世界-イスラム教は平和のための宗教-
第四講義 ヒンドゥー教とインド文明-カーストは本質的に平等-
第五講義 中国文明と儒教・仏教-儒教はなぜ宗教といえるのか-
第六講義 日本人と宗教-カミと人間は対等の関係-
参考文献

東京工業大学教授である著者が、社会人を中心とした受講生に向けて行った「宗教で読み解く世界」の講義内容をまとめたものである。著者と受講生の対話形式で構成され、講義を聴いているかのような感覚を味わえる。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、儒教、神道、といった世界のさまざまな宗教が網羅されており、それぞれの宗教がどのような背景で生じてきたのか、どのような思想を持っているのかが、社会とのつながりの中で論じられている。ほとんどの国では、経済・政治・法律・科学技術・文化芸術・社会生活、そのすべてに関わっているのが「宗教」であり、世界的にみれば、日本は特殊な環境に置かれているという。「『宗教のリテラシー』は、(中略)複数の文明圏が並びたつ現代世界を生きるわれわれにとって、不可欠のものなのである」というように、日本人はそのような「宗教」を踏まえた上で世界に出て行くことが大事であると著者は指摘している。

昨今、宗教多元主義が求められている中で、世界の主要な宗教について一通り述べたものが新書で出版されたことは高く評価すべきである。この本をきっかけとして、専門書を読む方が増えることを期待したい。著者の既刊『世界がわかる宗教社会学入門』、『ふしぎなキリスト教』を読めば、より理解が深まるだろう。


評者:上杉 泰成(浄土真宗本願寺派総合研究所研究協力者)


掲載日:2013年11月11日