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仏教瞑想論
本の紹介
  • 蓑輪 顕量 (みのわ けんりょう)
  • 出版社・取扱者 : 春秋社
  • 発行年月 : 2008年12月20日
  • 本体価格 : 本体220円+税

はじめに
第一章 仏教瞑想とはなにか-サマタとヴィパッサナー-
第二章 東アジア世界の仏教瞑想
第三章 日本における瞑想修行
第四章 現代アジアの瞑想の実際
おわりに
あとがき

著者は愛知学院大学教授(専門は日本仏教)。本書は仏道修行の中心は瞑想にあるとの前提のもとに、瞑想の基本をわかりやすく解説し、また、その基本がどのように継承されていったのかを、アジア世界に展開したほぼ全仏教を視野に入れつつ論じた、壮大な、意欲的な仏教書である。著者はこれまでの仏教研究が思想や教理に重きが置かれ過ぎているとの反省から、本書を「仏教を『瞑想』という実践の体系から理解しようとした、初めての試み」(あとがき)と位置づける。無常、無我などの基本的な教義理解も瞑想体験を抜きにしては語り得ないことなどが興味深く示される。

本書の中心部分は、瞑想の基本である「止」(心の働きを静める)と「観」(対象を観察することで無常などに気づく)が中国、日本、東南アジアの仏教各宗派でどのように継承されているかの検証に当てられている。その分析は中国・日本では禅宗を中心としながらも、浄土教と瞑想の関係なども議論の俎上に載せられている。全編を通して、「止」と「観」の伝統が時代や地域に特有の変容を蒙りながらも、その基本線は揺らぐことなく一貫していることが明らかにされる。


評者:石上 和敬(教学伝道研究センター客員研究員、武蔵野大学准教授)


掲載日:2009年4月10日