- 出版社・取扱者 : 角川学芸出版(角川ソフィア文庫)
- 発行年月 : 2008年12月25日
- 本体価格 : 本体705円+税
目 次 |
第一回 宗教体験としての禅 第一講 宗教体験とは何か 第二講 何を仏教生活というか 第三講 仏教の基本的諸概念 第四講 証三菩提を目的とする禅 第五講 心理学から見た禅 第二回 仏教における禅の位置 第一講 宗教体験の諸要素 第二講 宗教体験の諸型 第三講 宗教としての仏教 第四講 楞伽経大意 第五講 神秘主義としての禅 解説(旧版) (古田 紹欽) 解説(末木 文美士) |
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本書は、著者による2回の連続講演(1回につき5講、計10講)を書籍化したもの。1930年に『禅とは何ぞや』(大雄閣)として出版され、禅の入門書として定評を得て、版を重ねてきた。この度、新版として末木文美士(すえきふみひこ)氏の解説が加えられて、復刊された。本書は単に禅の概要を述べるだけではなく、著者の内面的な宗教経験が随所に現れ出ているところに特徴がある。
講義記録に基づいて、第1回「宗教経験としての禅」と第2回「仏教における禅の位置」に分けられているが、いずれも宗教経験というところから始められ、仏教一般の教えから禅の深みに至る。著者の経験は即座に了解されるものではないだけに、2度の連続講座が収録され、内容に重複があることが、かえって読者を著者の持つ深みと本質に誘ってくれる。
なお、末木氏の解説に「意外なくらい念仏について説いているところが多い」(261ページ)とあるように、禅の思想を浄土真宗の立場で言い換えたり、両者を対比させたりすることが多く見られる。
評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2009年3月10日