- 出版社・取扱者 : 新潮社(新潮新書)
- 発行年月 : 2011年10月20日
- 本体価格 : 本体680円+税
目 次 |
はじめに 日本浄土仏教の三祖を比較する 序章 浄土・阿弥陀・念仏とは何か 第一章 法然 仏教の解体と再構築 第二章 親鸞 その実存と信心、そして悪人 第三章 一遍 すべては南無阿弥陀仏に 第四章 三祖が紡いだ日本浄土仏教 むすびに 選択と葛藤と融合と あとがき |
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浄土宗の祖・法然聖人、浄土真宗の祖・親鸞聖人、時宗の祖・一遍上人。本書は、三人の祖師の思想の特徴を考察した一冊である。
仏教は本来、修行によって悟りを開くことを目指す教えであり、浄土仏教(阿弥陀如来によって浄土に往生することを説く仏教)は脇役の位置にあり続けた。しかし、法然聖人は「従来の仏教の枠組みからこぼれおちる人のため」(26ページ)浄土仏教を主役に転換させて、「本来『悟り型宗教』であった仏教を、『救い型宗教』へと再構築」(38ページ)した。そのため著者は「法然は日本仏教のキーマン」(28ページ)だと評する。法然聖人が築いた土台の上に、親鸞聖人や一遍上人の思想が形成されたのである。
この三人の祖師は浄土仏教に立脚しながら、それぞれ独自の思想を展開している。その独自性は、比較によって浮かび上がる。そこで本書はとくに「信心」に注目しながら、それぞれの独自性と、日本における浄土仏教の特徴を明かしていく。
評者:網代 豊和(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)
掲載日:2012年06月11日