- 出版社・取扱者 : 洋泉社(新書y)
- 発行年月 : 2011年12月21日
- 本体価格 : 本体860円+税
目 次 |
待合室 聖地と鉄道の古くて新しい関係 第001列車 山の聖地行き 第002列車 海の聖地行き 第003列車 都市の聖地行き 参考図書一覧 本書で紹介した聖地鉄道・聖地一覧 あとがき |
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名の「聖地鉄道」とは著者の造語で、寺社への参拝の足となる鉄道路線の意味。各地の鉄道とその沿線のある寺社を取り上げ、その関係をつづっている。
本書によれば、鉄道会社が寺社への参拝の便を図るために路線を建設したり、集客のために沿線の寺社を宣伝した例は少なくない。また、鉄道の発達によって参拝の形も変わった。現代では、本山や宗祖ゆかりの旧跡などに参拝する団体旅行(団参)が広く行われているが、団参は鉄道が発達したことによって始まったものである。1911(明治44)年の親鸞聖人650回大遠忌の際の団参はとりわけ大規模であり、当時の京都駅の規模では対処しきれないことが予想されたため、京都駅の隣に梅小路駅が臨時に設置された。鉄道の発達は遠隔地からの参拝を便利にした反面、有名寺社への参詣路にある寺社の衰退も招いた。
本書は、鉄道の発達に寺社が大いに関わっているという、鉄道と寺社の意外な関係を明かしている。
評者:多田 修(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)
掲載日:2012年06月11日