- 出版社・取扱者 : 日本放送出版協会(NHKライブラリー)
- 発行年月 : 2007年4月15日
- 本体価格 : 本体920円+税
目 次 |
はじめに 第1章 仏教のめざすもの 第2章 インド文化の基本的色彩 第3章 ゴータマ・ブッダの宗教的目覚め 第4章 大乗仏教の誕生 第5章 大乗経典の創作と流伝 第6章 般若経-空と利他行- 第7章 維摩経-在家の菩薩- 第8章 法華経-永遠に働き続ける如来- 第9章 浄土経典-浄土への願い- 第10章 華厳経-壮大なる世界と求道の物語- 第11章 涅槃経-如来常住と仏性- 終章 私たちの願い 引用・参考文献 おわりに |
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著者は東京大学東洋文化研究所教授(仏教学)。大乗仏教の経典に頻出する救済対象としての「一切衆生」という言葉に注目し、それを「大乗仏教における他者の発見」と捉え、多様な展開を見せる大乗の経典群を読み解くという研究を続けてきた。その研究を通して、「大乗仏教のめざすものは『菩提の完成』であり、『菩提』とは『一切衆生とともに』という『誓願』であると確信するようにな」った(「おわりに」) という。
本書はこのような著者独自の視点から、代表的な大乗の経典群を解説したものである。まず、仏教誕生の基盤となったインド文化の基本的色彩を概観し、ゴータマ・ブッダの悟りについて論じる。その後、大乗仏教の誕生、大乗経典の創作・流伝の状況を整理し、般若経・維摩経・法華経・浄土経典・華厳経・涅槃経といった個別の経典を解説してゆく。そして最後に、大乗経典に説かれる菩薩の誓願を私たち自身の願いとして受け止めてゆくという著者の思いを述べて、本書は締め括られている。
評者:爪田 一壽(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2008年4月25日