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目 次	プロローグ 第一章 生まれることは苦しいか？ 第二章 老いの醜さ・老いの尊さ 第三章 病の三態と「病草紙」 第四章 死を超えて エピローグ 註 あとがき 掲載図版一覧

本書は、日本で作成された「仏教説話画」に込められたイメージを、美術史学の立場から解き明かしたものである。仏教説話画とは、仏教の教理・伝承にもとづいた説話を図像化した絵画であり、古来、仏教の教えを伝える際に用いられてきた。

仏教説話画は、２つのものに依拠して作成されている。１つは、仏教の教理・伝承やコード（視覚的に表現する際の約束事）といった、絵を描く上でのある種のガイドラインである。そしてもう１つは、作成された時代の社会状況である。本書は、仏教説話画が依拠する教理や作成時の社会状況の読解に留まらず、仏教説話画そのものが伝えるメッセージに迫ることを試みている。

そうした説話画に描かれた様々な主題のうち、本書が考察の対象としているのは「四苦」（４つの思い通りにならないこと）、すなわち「生老病死」である。分析を通して明らかにされた、古代・中世における「生老病死」のイメージは、現代の死生観を相対化し、自らの生老病死の捉え方を考え直すきっかけを与えてくれている。