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浄土と曇鸞−中国仏教をひらく
本の紹介
  • 栗三 直隆 (くりみつ なおたか)
  • 出版社・取扱者 : 桂書房
  • 発行年月 : 2012年2月1日

一 出生の地 雁門
二 神仙の山 五台山
三 修学の地 仏光寺
四 大集経との苦闘
五 秦陵での目覚め
六 梁武帝との対面
七 茅山の陶弘景
八 江南への巡礼
九 菩提流支との出会い
一〇 并州大寺の創建
一一 石壁の玄中時
一二 『浄土論註』の撰述
一三 伝道教化と綿山(介山)
一四 平遥山寺の晩年
一五 汾西文谷の墓塔
仏教用語解説
曇鸞大師関係年表
参考文献
あとがき
索引

曇鸞(どんらん)大師(476〜542)は「他力」を初めて説いた中国僧である。その教えは親鸞聖人にも強い影響をあたえ、親鸞聖人は著述の中で曇鸞大師をたびたび讃えている。曇鸞大師は浄土真宗における七高僧(親鸞聖人以前に浄土教を伝えたとくに主要な高僧7人)の1人であり、親鸞聖人の名前の「鸞」は曇鸞大師に由来すると言われる。

曇鸞大師の生涯とその事跡を解説したのが、本書である。著者は学生時代より歴史研究を重ね、中国を頻繁に訪れて曇鸞大師ゆかりの地の探訪を続けてきた。そして仏典だけでなくさまざまな文献や現地調査を踏まえ、それらをもとにした著者の推測も交えながら、曇鸞大師の生涯を本書でつづっている。時代背景の説明や用語解説、さらに曇鸞大師ゆかりの地を撮した豊富な写真(大半は著者の撮影)もあり、理解を助けてくれる。

本書は副題に「中国仏教をひらく」とあるように、曇鸞大師だけでなく中国仏教を知るための手がかりとなってくれるであろう。


評者:多田 修(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)


掲載日:2012年06月11日