目 次 ・ 収 録 内 容 |
●特集 「三業惑乱―〈信心〉をめぐる対論」 「年表で見る〈三業惑乱〉の流れ」編集室 「〈三業惑乱〉人物相関図」編集室 「〈三業惑乱〉の歴史」西村慶哉 「〈たのむ〉の理解」能美潤史 「〈三業惑乱〉が教えてくれること」三浦真証 「〈三業惑乱〉がもたらした功罪」満井秀城 江戸時代におこった本願寺最大の教学論争、「三業惑乱」。宗義の乱れ、教団の分断、幕府の介入など、宗門の歴史に大きな傷跡を残した事件であることは間違いありません。しかし、この事件を単なる負の遺産として終わらせていいとも思えません。「三業惑乱」は私たちに何かを問いかけているのではないでしょうか。〈信心〉をめぐる対論に耳をすませてみましょう。 ●はじめの一歩1 江戸時代の庶民的な仏教書とお説教 2 和田恭幸 「江戸時代初期・前期の出版と仏教文化」 現代の私たちにとって当たり前の存在である本屋さんですが、その登場は江戸時代はじめの京都でした。本屋さんが世の中に及ぼした影響は大きかったようで、仏教界ではそれが特に顕著だったようです。本屋さんの登場は、仏教界に何をもたらしたのか。江戸時代のベストセラー作家・浅井了意も登場する話題の連載の第2回、どうぞお見逃しなく。 ●はじめの一歩2 幸せってなんだろう―悪人正機の倫理学―16 藤丸智雄 「現実化したジレンマと仏教―現実世界の答えの見えない困難に対して仏教は無力なのか」 今回はコロナ禍で現実におきている様々なジレンマ(判断に迷うような課題)について考えます。これらのジレンマは、すべて私たちに差し迫っている問題です。現実に悩んでいる人たちに、仏教・浄土真宗はどのような価値観を発信できるのか。『本願寺白熱教室』(法藏館)を刊行した藤丸先生による、「〈季刊せいてん版〉白熱教室」で一緒に考えましょう。 ●聖典セミナー 『唯信鈔文意』12 安藤光慈 「念仏は信心のすがた」 親鸞聖人の在世当時、法然聖人の門下に「一念多念の諍論(じょうろん)」が起こりました。一声の称名(または信心一つ) で浄土往生が決定するとし、その後の称名を軽視する主張(一念義)と、数多くの念仏を称え、臨終来迎をまって浄土往生が決定するという主張(多念義)との論争です。このような一念や多念に固執するあり方を親鸞聖人は否定されましたが、それはなぜなのでしょうか。念仏を正しく理解する上での大切なポイントを学びましょう。 ●せいてん誌上講演 『蓮如上人御一代記聞書』4 稲城選惠 「灯台もとくらし」 蓮如上人の言行録『蓮如上人御一代記聞書』。浄土真宗の肝要を身近な表現で示された上人の言葉には、私たちをハッと驚かせる力があります。今号のキーワードは、「灯台もとくらし」。蓮如上人はなんだか私自身に向って仰っているような気がします。皆様はどうお感じになるでしょうか。 ●ほとけのいる景色―アジャンター石窟寺院 8 打本和音 「みおしえの容器(うつわ)」 多彩な壁画に目を奪われがちなアジャンター石窟ですが、その壁画が描かれた建築空間自体にも多くの魅力が潜んでいます。壁画が描かれるよりも前に石窟寺院を開鑿する、という作業が必要になるわけですが、当然ながら、適当に掘っているわけではありません。綿密な計画のもとに開鑿作業が行われ、確かな技術に支えられて空間が作られてきたからこそ、壁画も含めた石窟寺院がいまも存在できているのです。今回は、壁画をめぐる歴史の連鎖からしばし離れ、少しマニアックな話題で恐縮ですが、石窟空間自体に目を向けてみたいと思います。(本文より) ●せいてん華道教室(新) 弓場洋子 「華道の歴史―花と仏教」 お寺のご住職として法務に励まれるなか、華道講師としてもご活躍の弓場洋子先生に、華道の魅力をやさしくお伝えいただきます。もちろん仏華のお勉強にもなりますから、見逃せない連載ですよ。今回は、華道が教えてくれることについて。 ●法語随想 4 武田一真 「ただこのちかひありときき、南無阿弥陀仏にあひまゐらせたまふこそ、 ありがたく、めでたく候ふ御果報にては候ふなれ。」 南無阿弥陀仏のお念仏のこころを、ゆるぎない言葉でお伝えくださった武田一真先生編「法語随想」の最終回です。この私の行い・人となり、いかなるものもさわりとせず、そのままを、ありのままに包んでくださるお慈悲のはたらきの尊さをお味わいさせていただきましょう。 ●読者のページ せいてん質問箱 6 壬生泰紀 「阿弥陀仏が2人!?」 仏教・浄土真宗の教えや仏事に関する読者の皆さまの身近な疑問にお答えするQ&Aコーナー。お勤めでたびたび読まれる『阿弥陀経』。仏さまのお名前がたくさん出てくる「六方段」を読んでいて、「阿弥陀仏を讃歎する箇所になぜ無量寿仏(阿弥陀仏)がいるの?」って、疑問に思ったことはありませんか。無量寿仏が阿弥陀仏を讃歎する整合性とは、いかに?壬生先生の「質問箱」の最終回、今回のご回答も必見です! ●人ひとみな ニュートラルな考え(終) 朝倉行宣 「時空を超えたプレゼント」 「諸行無常・諸法無我・一切皆苦・涅槃寂静」という仏教の四つの旗印にそって、「テクノ法要」開催への思いを綴る朝倉住職の連載の最終回です。試行錯誤を重ね、常にバージョンアップしている「テクノ法要」を通して、朝倉住職はどんなプレゼントをもらったのでしょう。 ●念仏者はいま 福井・唯宝寺・藤下安子さん 「私が出遇った仏縁 1」 今回は、越前和紙の里として知られる福井県越前市の唯宝寺前坊守・藤下安子さんを訪ねました。福井県は、真宗出雲路派・真宗誠照寺派・真宗讃門徒派・真宗山元派の各本山があるご法義地です。藤下さんが、どのようなご縁で浄土真宗の教えに出遇っていかれたのか、これまでの人生のお話をうかがってきました。 ●西の空 心に響くことば 「あるく」(榎本栄一) 心に響く言葉を美しい写真とともに味わう、ほっと一息つくことのできるコーナー。素朴な言葉で人生のまことをうたった「市井の仏教詩人」榎本栄一さんの詩をお届けしています。今回の詩は「あるく」。榎本さんは何に支えられて95年の生涯を歩き抜かれたのでしょうか。 |
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季刊せいてん no.133 2020 冬の号 |