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華厳とは何か
本の紹介
  • 竹村 牧男 (たけむら まきお)
  • 出版社・取扱者 : 春秋社
  • 発行年月 : 2004年3月20日
  • 本体価格 : 本体2,500円+税

I 第1章 華厳の世界へ
  第2章 光の荘厳
  第3章 心は画家のごとし
  第4章 大悲の妙用はてしなく
  第5章 自己を求めて
II 第6章 すべての法門を見わたす
  第7章 松は竹、竹は松
  第8章 響き合い無限
  第9章 一塵に宿る宇宙
  第10章 速やかなる成仏の道
III 第11章 華厳思想と日本仏教
  第12章 いま華厳思想を考える
あとがき

本書は、著者が2002年4月から2003年3月まで、NHKテレビ「こころの時代」で講義をした際の副読本に加筆したものである。平易な解説書が少ない華厳思想について、簡便な入門書として適している。

第Ⅰ部(第1章から第5章)は、『華厳経』の内容とその思想を紹介している。『華厳経』の中に見られる唯識思想、如来蔵思想の解説や、『華厳経』の代表的な一節である善財童子の求道の旅(「入法界品」)の紹介などを含んでいる。第Ⅱ部(第6章から第10章)は、仏教の教理史における、中国の華厳思想の位置づけを明らかにしている。インド仏教思想の流れを概観しつつ、中国で成立した華厳宗の思想を紹介している。第Ⅲ部(第11章、第12章)は、日本における華厳思想を明らかにしている。日本仏教の各宗派の祖師に焦点をあて、各々の祖師と華厳思想との接点を示す一方、西田幾多郎の思想を手がかりとして、華厳思想の現代的意義について考察している。


評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2008年4月25日