- 出版社・取扱者 : サンガ
- 発行年月 : 2012年1月1日
- 本体価格 : 本体1,600円+税
目 次 |
問答一 白川密成 『太陽を曳く馬』をめぐって 問答二 釈徹宗 浄土真宗は仏教か、超仏教か? 問答三 勝本華蓮 問いかけの本源へ 上座仏教・大乗仏教・日本仏教、尼僧の視点から 問答四 南直哉 不死の門をいかに開くか 問答五 林田康順 仏教にとって救済とは何か 「誰が」「いかに」救われるのか。そして「何が」救うのか。 あとがき |
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著者の宮崎氏は、政治哲学、仏教、サブカルチャーなど多方面に通じた評論家であり、テレビ出演や講演のかたわら、多くの著作も出している。初期仏教やインド大乗仏教、とりわけ龍樹菩薩の思想に傾倒しており、自らを中観派(空の理論を根本とする学派。龍樹菩薩を祖とする)と位置づけている。
本書は著者と若手僧侶との対論集であり、設定されたテーマに基づき、自由に論じ合う形式のものである。著者と対論者はともに多くの著作を出す論客であり、対論における著者の舌鋒は鋭い。とくにオウム真理教事件、死刑制度に関する問題について、著者が対論者に仏教者としての見解を尋ねるに当たっては納得のいくまで何度も問いかけており、対論はいやおうなしに深まりを見せる。
話し合われる内容は深遠であり、馴染みの薄い仏教用語もしばしば現れるが、対論形式ということもあり、比較的テンポよく読み進めることができる。仏教初心者でも十分に読了することができるだろう。
評者:伊東 昌彦(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)
掲載日:2012年06月11日