HOME > 読む! > 仏教書レビュー > 本の紹介

なる仏教する仏教 猫でもわかる仏の教え
書評
  • 矢玉 四郎 (やだま しろう)
  • 出版社・取扱者 : エクスナレッジ
  • 発行年月 : 2019年5月31日
  • 本体価格 : 本体1,400円+税

仏教は仏さまの教えです
(中略)
死の恐怖
あとがき

著者は児童書『はれときどきぶた』の作者でもある。「あとがき」によれば、著者の家は浄土真宗本願寺派とのこと。

著者は仏教について、「仏教は葬式のためにあるのではない。よく生きるためにあります」(6ページ)と述べており、これが本書全般に通じるテーマになっている。この、「よく生きる」を突き詰めていくと「仏になる」のであり、これを著者は「なる仏教」と呼ぶ。そして、そのために具体的な行動をすることを「する仏教」と言う。その上で、日常生活の中でできる「する仏教」を、著者自身の経験を交えながら、つづっている。

たとえば、仏教の基本的な教えの一つである「諸行無常」(すべては変化する)について「変わるということを頭に入れておけば、地獄のような状況におちいったとしても、必ず変わるのですから、(中略)ひらきなおって、地獄体験をしながら、じっと待ちましょう。そうやって地獄から抜け出した人はたくさんいます。」(39ページ)と言う。この他、「極楽浄土に行くと思っておくと、いっそう死の恐怖は遠のきます。(中略)極楽のイメージをふくらませて遊べばいいのです。」(123ページ)とも述べている。

仏教に限らず宗教とは、教えを知ることはもちろん大事だが、それにもとづいて行動することが肝心。そう感じさせられる。


評者:多田 修(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)


掲載日:2020年3月19日