- 出版社・取扱者 : 白馬社
- 発行年月 : 2011年8月30日
目 次 |
はじめに プロローグ 第1章 合掌ができない子どもたち 第2章 後生の一大事 第3章 消えた「お浄土」 第4章 無明を生きる エピローグ あとがき |
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著者は本願出版社の元編集長。本書は、福島第一原子力発電所事故など大規模な人災を引き起こす「許し難い“人間”の所業に私たちはどのように向き合っていけるのか、向き合わなくてはならないのか」(はじめに)という問題意識から著された一冊である。
著者は、アインシュタインの「宗教のない科学は危険である」(18ページ)という言葉を引用しながら、「現代社会の苦悩は、政治や経済、科学あるいは行政など世の中を動かしている人間の根底に宗教がないことが大きな要因である」(19ページ)と訴え、そのような社会が生み出したものの一つとして取り上げたのが、書名にもある「合掌ができない子どもたち」である。本書は「合掌」だけでなく「お浄土」「後生の一大事」などの観念が薄れた社会に警鐘を鳴らしており、宗教者として為すべきことを考えさせられる。
評者:大江 宏玄
掲載日:2012年06月11日