【座学の内容】
今回は「重誓偈」の、「離欲深正念」から「得為三界雄」を中心に学びました。ここには「菩薩の修行に励み、名号と光明の徳によって、多くの苦しむものを救いたい」という、法蔵菩薩の願いが述べられています。座学では、「菩薩の修行」「光明の徳」「名号の徳」という三つのポイントに注目をしました。
①「菩薩の修行」について
「離欲深正念 浄慧修梵行」の二句は、戒定慧の三学に配当して説明されます。三学とは、『浄土真宗辞典』では、
さんがく 三学 仏道修行者が修めるべき3種の基本的な修学。①戒学(戒を守って悪を止め善を修めること)、②定学(禅定を修め、心の乱れを防ぐこと)、③慧学(物事を正しくとらえ、真理を見きわめること)の三。(『浄土真宗辞典』P237)
と説明されています。この三学について、法然聖人は「わがごときは、すでに戒定慧の三學のうつわ物にあらず」(『和語灯録』:『浄土真宗聖典全書』六608頁)と仰います。「智慧第一」と称された法然聖人でさえこのように言われるのですから、ましてや、私たちが三学を修することは、大変難しいことだと言わねばなりません。しかし、だからこそ、そのような私たちを救うために法蔵菩薩が三学を修め、この上ないさとりを求めて天人や人々の師となることが誓われたのがこのご文の意味です。
②「光明の徳」について
「神力演大光」から「天光隠不現」までは、光明の徳について述べられています。普くすべてのものを救うため、果てしのない世界をくまなく照らし、煩悩の闇を除き去る光明の徳をそなえた仏になろうという、法蔵菩薩の願いが示されるのがこの一段です。
光には「明るく照らす」「あたたかくつつむ」「育てる」というはたらきがあります。このようなことから、仏さまの智慧と慈悲のお徳を、はかり知ることのできない光明として表されるのです。また、阿弥陀仏の光明について、『仏説無量寿経』には、十二光という形で示され、親鸞聖人も、「正信偈」や『浄土和讃』で十二光のお徳を讃嘆されていることに触れ、その内容について学びました。
③「名号の徳」について
「為衆開法蔵」から「説法師子吼」までは、名号の徳について述べられています。この中で「功徳宝」という言葉が名号を表しています。親鸞聖人が『一念多念文意』というお書物で
「真実功徳(しんじつくどく)と申すは名号なり。一実真如(いちじつしんにょ)の妙理(みょうり)、円満(えんまん)せるがゆゑに、大宝海(だいほうかい)にたとへたまふなり。」(『註釈版聖典』P690)
「真実功徳」というのは、名号のことである。この名号には、一実真如のすぐれた理が欠けることなくそなわっているから、世親菩薩(せしんぼさつ)は大宝海にたとえておられるのである。(『一念多念文意(現代語版)』P31)
とお示しになっているように、名号には、一実真如の妙理といわれる阿弥陀仏のさとりのお徳のすべてが欠けることなくそなわっているから「真実功徳」「大宝海」「功徳宝」等と表現されます。その名号が、あらゆる世界に響きわたることを、ここでは「説法獅子吼」(獅子が吼えるように教えを説こう)と表現されています。
さらに、その名号が、この私の上に具体的にはたらいているすがたが、私たちが称える念仏であるということを学びました。念仏を称えるというのは、私の行為ですが、口から出てくる「南無阿弥陀仏」という言葉は、仏さまのはたらきそのものであると受けとめていきます。
以上、実践の時間では、光明と名号のはたらきで私たちを救うという、阿弥陀仏の願いが「重誓偈」のなかで示されているということを学びました。
【実践の内容】
まず、お仏壇のお荘厳について学びました。お荘厳は、点火(輪灯などに灯明を点ずる)・点燭(蝋燭に灯明を点ずる)・供香(香をお供えする)・供飯(仏飯をお供えする)の順で行います。お仏壇のお供えは「すっきり」とするのが理想です。不要な物はお仏壇の中には入れないようにすることが大切です。
次に、お経本の頂き方、合掌礼拝の仕方など、一連の作法や、「●」「同音」「引」「誓-不」(火急)などの記号について、これまでの講座で学んだことを再確認しました。
そして、「重誓偈」を3回実唱しました。特に今回は、テンポを速くしておつとめをする練習をしました。
最後に、質疑応答の時間を設けて、実践の講座を終了しました。