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第2回「讃仏偈」② 講座の内容

【座学の内容】

 第2回目の講座では、「讃仏偈」の内容を学びました。「讃仏偈」のご文の一言一句について詳しく見るのではなく、全体的な流れを把握した上で、幾つかのポイントをピックアップして話しをしました。

 

 まず、「讃仏偈」全体的な流れは次のようになっています。

   「光顔巍巍」~「震動大千」
      法蔵菩薩が、世自在王仏のお徳を讃える。
   「願我作仏」~「快楽安穏」
      法蔵菩薩が、自身も世自在王仏のような仏となり、迷いの人々をすべて救いたいという願いを述べられる。
   「幸仏信明」~「知我心行」
      法蔵菩薩が、世自在王仏や諸仏方に、自らの志を認めていただくよう請う。
   「仮令身止」~「忍終不悔」
      法蔵菩薩が、求道の決意を述べられる。

 

 次に、今回とり上げたポイントは、以下の三つです。

①「光顔巍巍」について
仏さまのお顔が気高く光り輝いているのは、この上ないさとりの境地におられることを表しています。

②「願我作仏 斉聖法王」について
ここで法蔵菩薩は、「あなたのような仏になりたい」と願っておられます。「あなたのようになりたい」というのは、最も相手を讃える言葉になります。逆に、「あなたのようにはなりたくない」という言葉は、最も相手を否定する言葉となります。今、「讃仏偈」に説かれる法蔵菩薩の願いは、そのまま世自在王仏を讃える言葉となっています。講座では、この「あなたのような仏になりたい」という言葉をよりどころにして、専如ご門主が「私たちのちかい」についてのご親教においてお示しくださっている、「仏さまのように」という言葉の味わいについて話しをしました。

③「我行精進 忍終不悔」について
俳優の高倉健さんの最後の手記に記され、ご本人の座右の銘として有名になった「行く道は精進にして、忍びて終わり、悔いなし」という言葉が、「讃仏偈」の最後の二句がもとになっていることを紹介し、両者の共通点や違いを確認して、「忍びて終わり、悔いなし」と読むことによって生れる味わいについて話しをしました。

【実践の内容】

 まずは、お仏壇のお荘厳について。お仏壇をきれいに掃除し、お花を供え、輪灯・蝋燭に火を点じて、お香を焚き、お仏飯をお供えします。こうしておつとめの準備が整います。
 次に、おつとめのポイントとして、以下の話しがありました。

①声の出し方について
腹式呼吸で声を出します。腹式呼吸のコツは、仰向けに寝て、息を吸う時はお腹を膨らませ、息を吐く時はお腹をへこめるようにします。そして太く芯のある、しっかりとした声を出すように心がけるようにします。

②音の高さについて
「讃仏偈」はハ調の「ミ」の高さでおつとめをするのが基本です。しかし、決められた音を正しく出すのが難しいと思われるときは、そこまで厳密でなくてもかまいませんが、「これくらいの高さ」ということとして知っておいてください。

③調声人について
おつとめの初めの一句目部分(句頭〈くとう〉)を唱える人を調声人といいます。調声人の役割は、音の高さ、テンポを定めてそれを維持し、おつとめをリードすることにあります。調声人以外の人は、二句目以降から、調声人の音の高さ、テンポにあわせておつとめをします。

④鏧(きん)の打ち方について
鏧には大鏧(だいきん)・小鏧(しょうきん)・引鏧(いんきん)の三種があります。基本的にこれらは外側を打ちますが、小鏧は内側を打ってもかまいません。鏧を打つ数は基本的に、初めは二音、中間の区切りでは一音、最後が三音となります。最後の三音は、強・弱・強と打ちます。

⑤鼻的破裂音について
鼻的破裂音とは、お経を唱えるとき、「つ」の音(例えば「仏(ぶつ)」の「つ」など)について、舌を上あご部分に付けて鼻から息を抜くようにして発音する発音方法です。難しい発音なので、一般の方々にまでこの発音を徹底することはあまりないのですが、本講座は、おつとめを学ぶ講座ですので、基本として説明をしておきます。時々「ん」と発音される方がおられますが、「ん」と発音すると言葉の意味が変わってしまうので、そうならないように気をつけてください。ちなみに「正信偈」をおつとめするときは、鼻的破裂音は用いません。

 以上のことを説明された後、参加者全員で「讃仏偈」を実唱しました。みなさん大変上手におつとめをされていました。
その後、「願以此功徳」の回向について、節付き(『日常勤行聖典』104頁所収)の唱え方の練習をして、実践の時間は終了しました。