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本願寺広島別院・安芸教区

全戦争死没者追悼法要並びに

原爆忌80周年法要趣旨

世界で初めて広島に原子爆弾が投下されてから80年を迎えようとしています。ヒロシマは平和を願う地として、その惨劇を今日まで世界中の人々に語り継いできました。その声は世代を超えて伝えられ、核兵器廃絶運動の大きなうねりとなりました。そしてこの度、これまでのヒバクシャの方々の地道な活動が評価され、日本原水爆被害者団体協議会（日本被団協）がノーベル平和賞を授与されました。戦争の抑止力となるのは「被害者の生の声を聞く」ことを続けるより他はないとあらためて世界に示しました。しかし、そうした歩みが蔑ろにされ、軍事力による他国に侵攻する行為がいま世界各地で起こっており、いまだに解決の糸口すら見えない状況となっています。
今こそ私達は「怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息むことがない。 怨みをすててこそ息む」との釈尊のお言葉を大切に受け止めることが必要です。自国偏重の考えは他国の考えを尊重しない排他的行動となり、それは結局自らを滅ぼす結果となります。爆心地に近い本願寺広島別院は経典「仏説阿弥陀経」にある「共(ぐ)命(みょう)鳥(ちょう)」をシンボルマークとしています。「他を滅ぼす道は己を滅ぼす道、他を生かす道こそ己の生かされる道」と仏法に聞き、すべてのいのちの尊さや、存在を大切にしあう社会が続くことを強く願っています。
被爆80周年を迎える2025(令和7)年、本願寺広島別院・安芸教区において、これまでの歩みに加え、更なる非戦・平和への願いを込めて、『全戦争死没者追悼法要並びに原爆忌80周年法要』の勤修と、その関連事業を開催いたします。
「全戦争死没者追悼法要」は、1994(平成6)年、原爆50回忌法要を機に、本願寺広島別院で大切に続けてきた法要です。この法要はわが宗門にとって過去の戦争に協力し、多くの人々を扇動してきた歴史を見つめなおし、平和を願う法要でもありました。
このたび、被爆80年を迎え、改めて「過ちは繰り返さない」と誓われた先人の方々の思いや、「世のなか安穏なれ仏法ひろまれ」との宗祖親鸞聖人の願いを胸に、戦争を知らない世代が大半となる社会に、広く非戦平和を訴え、共々に安心して生活できる社会の実現をめざして歩んでまいりたいと思います。

趣旨

　本年は、太平洋戦争が終結して80年になります。沖縄は、日本で唯一の地上戦が行われ、一般住民を含め20万人余りの方が無念の死を遂げられました。
しかしながら、世界では戦争や紛争により尊いいのちが傷つき失われています。そして、今もなお過去の歴史を教訓とすることなく、沖縄には広大な米軍基地が存在し、米軍人等による事件・事故など様々な課題を抱えています。
お釈迦さまは『仏説無量寿経』において「兵戈無用」（仏教の広まるところに、兵隊も武器も必要としない国が開かれる）とお示しくださり、親鸞聖人が「世の中安穏なれ、仏法ひろまれ」と願われた理念を私たちは幾度となく確認してきました。
生きとし生けるものすべてが、戦争のない安穏で平和に過ごせる社会を築くためには、阿弥陀如来の智慧の光に照らされ、人間の自己中心的なあり方、根本的な愚かさに気づかされ、武器によって世界の平和・全人類の幸福はもたらされないことを常に自覚し、自他共に心豊かに生きることのできる非戦平和への誓いを次の世代に伝えていかなければなりません。
そして、この理念・誓いを通してより良い未来を創るために、私たちには何ができるのかということを、共に考え実行していくことが必要です。
ここにその思いをあらたにするため「太平洋戦争全戦没者・沖縄戦終戦八十年追悼法要」を沖縄にて修行いたします。