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十方微塵世界の

十方微塵世界の  念仏の衆生をみそなはし  摂取してすてざれば  阿弥陀となづけたてまつる

(「浄土和讃」『註釈版聖典』571頁)

現代語訳

ありとあらゆる

 ご本願のはたらきを信じて、お念仏申す生きとし生ける者をご覧になって

 摂(おさ)めとりむかえ取って、決してお捨てにならない如来さまでいらっしゃるので

 「阿弥陀さま」とお呼び申しあげるのです

 

お釈迦さまは「人生は苦なり」とおっしゃっておられます。もちろん生きていく中で、楽しいと思うこと、快く感じることもあるでしょう。しかしそれは、よくよく考えてみると、一時的なものであって、「自分の欲望が充足している状態」に過ぎず錯覚でしかないのです。普段の実感としても「しんどいなぁ」「生きづらいなぁ」ということが本当のところではないでしょうか。

そういう「しんどい」「生きづらい」という悩み苦しみのところにこそ、至り届き響いてくださるのが南無阿弥陀仏、「必ず救う。お願いだからまかせておくれよ」という阿弥陀さまの喚び声(よびごえ)です。「たとえ万人に見捨てられようとも、お前はひとりではないんだよ。この阿弥陀が、その人生をそのまま丸ごと抱きかかえて決して捨てない、救わずにはおれない。どうか安心しておくれよ、大丈夫だからね」と言って寄り添ってくださるその声を、素直にスッと受け入れるところに、あたたかで確かな依りどころが私の中に確立するのです。それによって、ギリギリのところでなんとか踏ん張ってこの人生を生きていくことができるのではないでしょうか。

 

文・長尾隆司
2014(平成26)年3月