Ⅵ-0883善圓十七箇條 制禁 一向專修の念佛者のなかに停止せしむべき條々事。 一 專修一行のともがらにおきて、餘佛・菩薩、ならびに別解・別行の人を誹謗すべからざる事。 一 別解・別行の人に對して、諍論をいたすべからざる事。 一 主親におきたてまつりて、うやまひおろかになせる事。 一 念佛まふしながら、神明をかろしめたてまつる事。 一 道場の室内にまひりて、憍慢のこゝろをいたし、わらひさゝやきごとをする事。 一 あやまて一向專修といひて、邪義をときて師匠の惡名をたつる事。 一 師匠なればとて是非をたゞさず、弟子を勘當すべからざる事。 一 同行・善知識をかろしむべからざる事。 Ⅵ-0884一 同行のなかにおきて、妄語をいたし、うたへまふすといふとも、兩方の是非をきゝて、理非をひらくべき事。 一 念佛の日、集會ありて魚鳥を食すること、もろもろあるべからざる事。 一 念佛勤行のとき、男女同座すべからず。みだりなるべきゆへなり。 一 かたじけなきむねを存じて、馬の口入、人の口入すべからざる事。 一 あきなゐをせんに虛妄をいたし、一文の錢なりともすごしてとるべからず、すなはちかへすべし。 一 他の妻をおかして、その誹謗をいたす事。 一 念佛者のなかに酒ありてのむとも、本性をうしなひて酒ぐるひをする事。 一 念佛者のなかに、ぬすみ・博奕をする事。 一 すぐれたるをそねみ、おとれるをかろしむること、もろもろあるべからざる事。 右このむねを停止せしめて、十七ケ條の是非、制禁にまかせて、專修一行の念佛者等、あひたがひにいましめをいたして信ぜらるべし。もしこのむねをそⅥ-0885むかんともがらにおきては、同朋・同行なりといふとも、衆中をまかりいだし、同座・同列をすべからざるものなり。仍制禁之狀、如件。 弘安八年八月十三日 善圓[在判]